アイガモロボ、G7宮崎農業大臣会合に出展し世界にアピール  水田メタンガスの半減傾向を発表

田んぼの自動抑草ロボット「アイガモロボ」の開発に取り組む有機米デザイン株式会社(以下、当社)は、4月22日から2日間に渡って宮崎県で開催されたG7宮崎農業大臣会合において、開発・販売で連携する井関農機株式会社(本社:愛媛県松山市 以下、井関農機)と共同で会合会場にアイガモロボの紹介ブースを出展し、各国の大臣や政府関係者、国際機関に紹介いたしました。

 展示ブースには、実際のアイガモロボと、スクリューの撹拌の様子を確認できる水槽、PR動画を用意し、当社取締役の中村が、生産者の除草作業の負担を減らすだけではなく、太陽光エネルギーのみで稼働するため農薬を使わずに抑草できること、更には、ロボを投入させた田んぼで温室効果ガスの1種であるメタンガスの排出量を半減させた実証実験の結果などについて、ブースにお立ち寄りくださった各国の大臣や国際機関の代表をはじめとした要人の方々に説明いたしました。化石燃料を使わずに水田の除草作業の省力化を実現できる点や有機農業の普及推進に期待できる点について、熱心に聞き入っておられ、関心の高さをうかがい知ることができました。

当社取締役の中村、会場のウェルカムボード前にて

官僚陣にお披露目したG7仕様のアイガモロボ

また、会合2日目には、宮崎県立宮崎農業高等学校の圃場で各国の大臣ら代表団に向けてアイガモロボの実演を行いました。日本は有機農業の面積拡大を推奨しており、実現のためには雑草対策の省力化が必須である中、そのソリューションの一つとしてアイガモロボを紹介いただきデモンストレーションがスタート。G7参加国の国旗を貼ったG7仕様のアイガモロボを県立宮崎農業高校の生徒らが田んぼに浮かべ、ロボが泥を巻き上げながら縦横無尽に全自動で動く様子を視察いただきながら、ロボの特性やスペックを説明、その中で、水稲栽培が行われているイタリアの企業からも購入希望のお問い合わせがあり、今後海外への販売にも積極的に取り組んでいく予定であることに触れ、水田文化の根付くイタリアのフランチェスコ・ロッロブリージダ農業・食料主権・森林大臣が笑顔で大きく頷いておられました。最後に当社の中村が、「昨年度の実証実験でメタンガスの排出量を半減できた結果も出ており、引き続き検証を重ね、効果を発信していきたい」とPRし、各国の閣僚陣を前に、世界へ印象付けました。

官僚陣を前にしたデモンストレーションの様子

アイガモロボは、太陽光エネルギーだけで稼働する田んぼの雑草を抑制するロボットです。農薬を使わない水稲の有機栽培を行う上で最も工数のかかる除草作業の省力化を実現し、有機農業(またはそれに準ずる栽培方法)の面積拡大、生産性向上の確立を目指しています。
 今回、G7の会場で紹介したメタンガスの削減効果は、東北大学農学研究科 西田瑞彦教授が2022年に行った実証実験に基づくもので、アイガモロボを使用したロボ投入区と使用していない対照区を比較し、水田から発生するメタンガスが半減する傾向が確認されました。今年度も同様の実験を重ね、2023年秋の日本作物学会で論文を発表する予定です。

 環境省の“2020年度温室効果ガス排出量”のデータによると、日本国内におけるメタン(CH4)排出量(CO2換算)は2,840万トンで、そのうち農業分野(稲作・家畜)からの排出量は全体の78%を占めており、中でも稲作は42%(1,200万トン)に達します。地球温暖化を食い止めるためには、こうした農業分野の排出量削減に向けた積極的な取り組みが必要不可欠で、アイガモロボを使用することで、メタンガス削減にも大きく寄与できる可能性があると考えています。

 

アイガモロボは、有機米の生産性向上と環境保護を両立させる革新的な技術であり、今後もさらなる技術開発を進め、持続可能な農業の推進に取り組んでまいります。

G7宮崎農業大臣会合概要
開催日程:令和5年4月22日(土曜日)・23日(日曜日)
会  場:宮崎市「シーガイアコンベンションセンター」/スマート農業実演は「県立宮崎農業高校」で実施
海外からの出席者:
・大臣
カナダ:マリー・クロード・ビボー 農業・農産食料大臣 
EU:ヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ 欧州委員会委員(農業担当) 
フランス:マルク・フェノー 農業・食料主権大臣 
ドイツ:ジェム・エズデミル 食料・農業大臣 
イタリア:フランチェスコ・ロッロブリージダ 農業・食料主権・森林大臣 
英国:トゥルーディ・ハリソン 自然環境及び土地活用担当大臣 
米国:トーマス・J・ビルサック 農務長官  

・招待国(オンライン参加) ウクライナ:ミコラ・ソルスキー 農業政策・食料大臣  

・国際機関
国連食糧農業機関(FAO):屈冬玉 事務局長 
国際農業開発基金(IFAD):アルバロ・ラリオ 総裁 
経済協力開発機構(OECD):ウルリック・クヌッセン 事務次長 
国連世界食糧計画(WFP):シンディ・ヘンスリー・マケイン 事務局長 

出張者:
野村哲郎(のむらてつろう)農林水産大臣 
野中厚(のなかあつし)農林水産副大臣 
角田秀穂(つのだひでお)農林水産大臣政務官 
藤木眞也(ふじきしんや)農林水産大臣政務官

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